リチャード・リップマンDR
老化は解決できない問題ではありません。最近では、老化が遺伝子によるプロセスではないことが示されていますが、実際に、ノーベル賞受賞者であり、DNAの分子構造を共同発見したジェームズ・ワトソン博士は、遺伝子の機能不全に起因する加齢性疾患は、全体の5%に限られると述べています(後注1)。
老化というのは、破壊、酸化、カラメル化、クロスリンキング、分解、ミスフォールドを通した分子の無秩序な損失であり、私たちの寿命は、20代半ばを過ぎた修復メカニズムによって決定されます。つまり、無秩序な分子損傷が修復を超え始めると、老化現象が始まるのですが、これは50歳を過ぎるとさらに加速します。こういった無秩序な破壊は、熱力学の第二法則によって決定されるように見受けられます。
加齢とともに身体機能が低下することを老化現象と呼びますが、これは生理的なものであって病的なものではありません。しかしながら、老化が加速したり増強されることで、身体機能に障害が生じると、病気が引き起こされることになります。
- 老化現象はすべての種に偏在する。
- 動物種の老化現象は例外なく熱力学不安定性を持つ。
- 特定種のすべてのメンバーが成熟に達すると老化現象が始まる。
- 老化現象は人間の保護下にある野生動物にも生じる。
- 老化現象はあらゆる多細胞生物に生じる。
- 老化現象はあらゆる生物や無生物に生じる。
上記の要因をすべて共有する病気が存在しないことから、老化は熱力学の第二法則に一致する無秩序な損害に起因するものであることが結論付けられます。したがって、医療制度は加齢性疾患と呼ばれる老化に大量の時間と経費を割いているだけでなく、治療に使われる薬は老化の根本的原因ではなく、徴候を扱うに過ぎないというのが現状です。私たちは、例えばホルモン欠乏症、フリーラジカル、種々の劣化プロセスによって引き起こされた無秩序な損害を克服・逆転させるために、これらの根本原因を追究しなくてはなりません。
体内のあらゆる機能に欠かせないホルモン
老化による潜行性な損害に疑いの余地はありませんが、これは特に損傷が修復を超過する50歳以上の高齢者に顕著に表れます。薄毛、白髪、皮膚の皺、足腰が弱る、反応時間が長くなるといった現象は、これらを修復する身体能力を圧倒する細胞傷害によるものです。さらに、複数のホルモンが不足すると、骨、筋肉、および皮膚が劣化するだけでなく、記憶喪失や認知障害が引き起こされることになります。
興味深いことに、母なる自然はすべての生き物に自然な修理メカニズムを与えました。ホルモンが成長、血圧、筋緊張、記憶、遺伝子、不安、疲労、性衝動、繁殖力、性的能力といった機能を制御することから、これらのメカニズムはホルモンによって操縦されることが多くなります。体内のあらゆる機能にとって極めて重要なホルモンは、どんな合成処方薬よりも強力であり、連続的な酸素の燃焼によって生成されるフリーラジカルに起因する損害の修復に尽力します。
残念ながら、医療専門家達は、高価な特許医薬品には精通していても、老化の根本的原因を追究することはなく、こういった基本的事実をよく理解していません。例えば、医療従事者に老化問題に関する救いを求めたとしても、「私たちが扱うのは病気であって老化ではありません」という答えが返ってくるだけでしょう。
ホルモン欠乏症
下垂体後葉から分泌されるオキシトシンが不足している自閉症の子供を見ると、年齢とともにオキシトシンの生産が低下することで、私たちの脳がどのように機能するかが分かります。興味深いことに、パーキンソン病における脳機能不全も、年齢によってオキシトシンの生産が低下することと関係しています。
ホルモンのエキスパートであるジョージ・フレッチャス博士は、オキシトシンはナンバーワン・ニューロペプチドであると述べていますが、私たちは、この本質的なホルモンおよび脳栄養素の安定した供給を保証する必要があります。オキシトシンなしでは、熱力学の第二法則によって私たちの脳が悪化し、短期記憶の損失、筋肉痛の増加、性衝動の損失、健康と幸福感の損失が発生することになります。
もう一つ、オキシトシンに構造上似ている別の脳ホルモンに、バイオアイデンティカル・バソプレシンがあります。これら2つのニューロペプチドは、2つのアミノ酸が異なるだけです。万が一、この両方が極端に不足するような場合には、急に立ち上がると眩暈を起こすことがあるでしょう。
これらのバイオアイデンティカル・ホルモンは、脳の視床下部にある同じ細胞によって生成されますが、興味深いことにバソプレシンは、オキシトシンや合成バソプレシンよりも強力に記憶を増強します。
また、バソプレシンには、脱水を防ぐ効果もあります。脱水症は老化に伴う深刻な問題であり、高齢者の半数以上に見られます。例えば、天然のバソプレシンが不足すると、排尿が頻繁になる傾向がありますが、その結果として皮膚が乾燥し、小皺が増えることになります。
フルスペクトル酸化防止剤で修復を上回る損傷の流れを変える
アンチエイジング薬には、フリーラジカルによる連続的な損傷から私たちの身体を守る目的がありますから、ACF228のようなフルスペクトル酸化防止剤を毎日服用すべきでしょう。スウェーデンやイタリアでは、ACF228が老化の治療薬として承認されています。
体内におけるフリーラジカルからの日常的な攻撃
細胞のエネルギー工場に当たるミトコンドリアの呼吸鎖では、後にスーパー・オキシド・ラジカルに変換される酸素が消費されていますが、この変換を通して私たちのDNAは、毎日約7,000もの化学的攻撃を受けています。
私たちのDNAは、例えて言うなら風前の灯のようなもので、実際に激しい有酸素運動状態では、休息時の8倍もの攻撃を受けることになりす。つまり、激しい有酸素呼吸によって、私たちの遺伝子に損害を与える恐れのあるフリーラジカルが大量に生成されるのです。
ACF228は、過酸化水素や過酸化脂質のような超酸化物と、その他の活性酸素種(ROS)による連続的な嵐を緩和してくれます。不完全な呼吸鎖から余分な電子を得ることで、化学的に非常に不安定になった超酸化物やROSは、非常に有毒で反応的な化学物質です。例えば、非常に反応的なヒドロキシル・ラジカルなどは、わずかナノ秒で私たちの生体物質を破壊してしまいます。幸いながら私たちには、これらを制御・修復するシステムがありますが、50歳を過ぎるとこれが失速し始めることになります。
ACF 228はフリーラジカルによる損傷を防ぐことで、必要な修復を最小化します。例えばACF 228に含まれるNDGA(ノルジヒドログアヤレト酸)は、ミトコンドリアの呼吸鎖における電子流を合理化することで、フリーラジカルの生成を抑制します。2003年には、3つの独立した政府研究所がハツカネズミの生命拡張に関するNDGA試験を行っている他、NIA(国立衛生研究所支部)では8%の延命が報告されています。現在のところ、このように生命の延長が政府の研究によって証明された酸化防止剤は他にありません。
結論
50歳を越えて細胞の損傷が修復を超える速度が加速し始めると、多くの老化が生じることになります。私は、このプロセスを逆転させるために、低用量かつ予防線量のホルモンおよびフリーラジカル捕捉剤を毎日のサプリメントに加えることを提案します。
後注
- 嚢胞性繊維症、サラセミア、および鎌状赤血球症といった単一遺伝子障害は、ゲノム(生物が機能的に完全な生活をするために必要な遺伝子群を含む染色体の一組)のタンパク質翻訳領域におけるDNA変異によって容易に説明・理解できますが、多くの複合病は、ゲノムにおけるDNA変異や一塩基多型(SNP)によって説明できるものではありません。ジェームス・ワトソン博士は、こういった疾病の95%は、恐らくDNAのタンパク質翻訳領域から遠い、非翻訳配列によるものだと言います。
- ACF228には、大気中の酸素および日光(光化学的特性)によって引き起こされる酸化および活性酸素(ROS)から保護してくれる、特別なボトルが使用されていますが、更なる保護効果のために、冷蔵庫で保管されることをお勧めします。また、開封後は30日以内に使い切るようにし、長期間保存される場合は冷凍するようにしてください。
紙製もしくは安価なプラスチックボトルのパッケージを常温で保管している多くの酸化防止剤製品には、十分な効果が期待できないでしょう。室温で保管した酸化防止剤製品は、数ヶ月で色、香り、味が劣化してしまいます。こういった酸化性の変化(悪臭)は、有機および自然化学の基本原理に起因するもので、温度が10℃下がるごとに、有機材料(食物、サプリメント、抗酸化剤混合物)における酸素と活性酸素(ROS)間の化学反応速度が半減されます。
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