マリオス・キリアジス博士

キングズ・カレッジ・ロンドンおよび王立内科医協会の医学学位と大学院修了学位を持つバイオ老人病学者。老人防止医学の第一人者として国際的に認められている。数多くの論文を発表するとともに、医学専門家や一般市民に向けた著書を積極的に執筆。老人防止医学の先駆者として1991年に英国長命協会を設立。

 

プロローグ

キリオジス博士は、その豊かな医学専門知識を生かして、55歳以上の5人に1人が発症するとされる老人性白内障との闘いに貢献しています。これまで白内障の治療は外科手術に限られていましたが、白内障の手術には深刻な合併症が伴う恐れがあるうえに、人工レンズによる視力調節能力の喪失も考慮しなくてはなりません。

幸い現在では、ロシアで開発され、老人性白内障の治療に目覚しい効果を発揮することが臨床試験で示された、Nアセチルカルノシン点眼薬という選択肢があります。

Can-C点眼薬は白内障だけでなく以下のような眼病にも有効です。

  • 緑内障
  • 黄斑変性
  • 角膜感染症
  • 眼球乾燥症候群
  • コンピュータ視覚症候群
  • 眼精疲労

免責事項

ここで提供される情報は著者の経験と研究に基づいたもので、医師の指導に代わるものではありません。病気の診断や治療については、必ず医療専門家の指示を仰いでください。また、一般市民に向けたこれらの情報は特定のプロトコルを推奨するものではなく、いかなる結果に対する責任も負うものではありません。本稿を読まれた後の商品購入は全て自己責任で行うことを認識してください。また、これらの情報に疑問がある場合は、医療専門家と協議されることを強くお勧めします。

 

著作権2010

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コンテンツ

  • 序文‐フィル・ミカンズMS, PharmB
  • 第一章:導入
    • カルノシン
    • メトフォルミン
    • アミノグアニジン
    • メラトニン
    • 白内障
    • 緑内障
    • 黄斑変性
  • 第二章:白内障
    • 背景
    • 問題点
    • 栄養
  • 第三章:Nアセチルカルノシン点眼薬
    • 脂質過酸化
    • 作用と特性
    • 研究
    • 写真
    • その他の徴候
  • 第四章:成分と純度
  • 第五章:詳細
    • よくある質問
    • 事例研究
    • 結論
  • 第六章:リソースガイド
    • 用語集

序文

私はこれまで新しい予防法や治療法を求めて世界中を旅してきました。世界にはまだ世間に知られていない革新的な製品や技術が多く存在していますが、白内障に有効なNアセチルカルノシン点眼薬もその一例だと言えるでしょう。

ここではキリアジス博士の研究および開発と、点眼薬の臨床適応に注目したいと思います。

高齢者人口が増加するに従い、老人性白内障といった加齢性疾患の発病率が上昇していますが、白内障の進行を遅らせるだけでなく、逆転も可能なことが証明されたNアセチルカルノシン点眼薬は、眼科治療に重要な進展をもたらしました。

キリアジス博士の著書には、白内障だけでなく、緑内障や黄斑変性といった多くの眼病を改善させる治療法や栄養に関する情報も含まれています。視力の悪化が懸念される人は、博士による情報を取り入れることをお勧めします。

フィル・ミカンズ MS, PharmB

 

第一章:導入

医学の進歩により私たちの寿命は以前に比べて確実に長くなっていますが、遺伝学、幹細胞、成長因子、カロリー制限ミメティック、ナノテクノロジーなどの発展によって、今後20年以内に人間の寿命はさらに劇的に延長されるでしょう。その時が訪れるまでに、私たちは年齢に伴う既存の病気に対処しなくてはなりませんが、そのためには、加齢の仕組みについて正確に理解する必要があります。

研究者や医者の多くは、化学構造から電子が1つ欠けた一群の単純化合物であるフリーラジカルに起因する損害が老化の主要因であると認めています。失った電子を得るための分子を探す非常に不安定なフリーラジカルには、以下のような種類があります。

  • スーパーオキシドラジカル
  • 水素ラジカル
  • ヒドロキシラジカル
  • 一酸化窒素ラジカル

こういった反応性分子は、周りの分子を破壊することで老化を引き起こします。フリーラジカルは常に体中の器官に影響を及ぼします。この文章を読んでいる間にも、DNA、タンパク質、細胞は、小さいけれども不可逆的な損傷を受けているのです。

したがって、フリーラジカルの制御が重要になってきます。私たちはフリーラジカルを捕捉して滅ぼす天然の酸化防止物質を体内に取り込むことでこういった損害を抑えていますが、問題は時間の経過とともに酸化防止効果が衰え、フリーラジカルと有利に闘えなくなることです。そのため、年齢に伴う損傷が、命が尽きる時まで蓄積し続けることになります。

フリーラジカルの他にももう一つ、糖化(グリケーション)も老化の重要な原因となります。日常的な代謝に伴う糖化と呼ばれるプロセスを通して、ブドウ糖、フルクトース、アルデヒド、ケトンといった体内における天然化学物質がタンパク質と結合する反応は、マイヤール反応とも呼ばれています。さらに、糖化タンパク質が他のタンパク質と反応することで、元に戻せない架橋結合が生じることもあります。

皮膚や動脈などの内部組織に存在するコラーゲンやエラスチンから、免疫系における酵素やタンパク質など、あらゆる分子が影響を受ける架橋プロセスは、接着剤の役割を果たして2つのタンパク質を固定させるカルボニル基によって促されます。カルボニルは、糖、アルデヒド、ケトン、フリーラジカルなどがタンパク質上のアミノ酸と反応することで形成される化学物質の断片ですが、脂肪やDNAが関係する状況下でも形成されることから、タンパク質だけでなくDNAや脂質へのタンパク質結合も引き起こす場合があります。これらはいずれも等しく私たちの体に悪影響を与えるものです。

架橋結合によって、目を含めた組織のタンパク質に、解決できない大量の損害がもたらされますが、損害を受けた最終糖化産物(AGE)と呼ばれるタンパク質には、フリーラジカルと結合し続けることで、慢性酸化と呼ばれるより多くの組織損傷を誘発する恐れがあります。一般的にAGE形成は20歳を過ぎた頃から始まりますが、糖尿病によって加速される場合もあります。さらにAGEは細胞内の活動を妨害し、過酸化物や一酸化窒素など、より多くのフリーラジカルを生産させ、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-a)やインターロイキン6といった有毒な化学物質を活性化します。このようにAGEは、年齢に伴う慢性疾患や癌の一因にさえ成り得る、恐ろしいものです。

以下の慢性疾患は、糖化や架橋結合に起因する恐れのあるものです。

  • 糖尿病性合併症
  • 免疫力の低下
  • アテローム性動脈硬化症
  • 高血圧
  • アルツハイマー病
  • 腎臓損傷
  • 皮膚老化
  • 白内障

糖化、架橋結合、AGEは、目に重要な損害を与える可能性があります。

架橋結合を防ぐ糖化反応阻害薬として、カルノシン(Can-Cカプセルアミノグアニジンメトフォルミン、アクラボス、ピリドキサミンなどが市販されています。アクラボスやメトフォルミンなどは既に糖尿病の治療薬として使用されていますが、さらなる反架橋効果が新しい研究によって強調されています。ただし、点眼薬として慢性眼疾患の治療に使えるカルノシンは、Nアセチルカルノシンに限られています。

 

有効な糖化反応阻害薬

    1. カルノシン

アミノ酸βアラニンとLヒスチジンが組み合わさったカルノシンは、筋肉や神経組織に存在する天然物質です。最も有望なクロスリンク抑制剤の1つとして認められているカルノシンは、白内障の治療にも使われています。複数の作用を併せ持つカルノシンは、遊離カルボニル基を捕捉することで、タンパク質だけでなく、DNAへのタンパク質架橋結合にも有効に作用します。

直接的な酸化防止作用のあるカルノシンは、グルタチオンをはじめとする多くの酸化防止物質を保護・活性化するだけでなく、強力な重金属キレート剤として、フリーラジカルの攻撃を加速させる恐れのある有害な金属イオンを排除します。さらに、まだ未確認ではあるものの、架橋タンパク質上のS-S結合を解消する能力があるのではないかと考えられています。

さらに動脈壁柔軟性の測定では、動脈における筋肉を弛緩させる分子である一酸化窒素を刺激する能力から、カルノシンが動脈壁をリラックスさせて血流を改善させるように見受けられます。

フリーラジカルや糖化代謝を減らすカルノシンの能力が人間や動物に関する実験で強調されていますが、最も重要なのは、損害を受けたタンパク質を目から排除する能力によって老人性白内障を予防・治療する点でしょう。恐らく緑内障や他の慢性眼病にも同様の効果があると思われますが、点眼薬として使われるのはNアセチルカルノシンに限られています。

1日に50~300mgもしくは500~1500mgと、カルノシンの経口服用量はさまざまですが、高用量によるアレルギー反応が報告されることもあります。カルノシンは鳥の胸肉、ウサギ、キジなど、食事から摂取することも可能です。

カルノシンおよびその派生物による白内障治療への関心が年々高まりつつあります。クライストチャーチ病院の科学者は、主要な査読済み科学雑誌に、「白内障治療に関する最後の主要レビュー以来、抗白内障エージェントの開発が進められているが、カルノシンなどは現在臨床試験に達するとともに、今後の調査を保証する、励みとなる結果を示している。効果的な白内障治療の発見によって目の健康に関する世界的影響が生み出されるであろう」とコメントしています。

    1. メトフォルミン

糖尿病(インスリン依存性、インスリン非依存性ともに)の治療に頻繁に使われるメトフォルミンは、コレステロールを低下させ、体脂肪を減らし、酸化防止力を増強し、糖化を抑制し、最終糖化産物の形成も制限します。

最近の実験では、メトフォルミンがクロスリンク抑制剤として広範囲に渡って作用することが示されていますが、心臓病、脳卒中、血液の異常凝固、血栓症などの増加につながる、フィブリン・タンパク質の架橋結合も減らします。

これまでのところ、白内障に対するメトフォルミンの効果を評価した臨床研究はありませんが、酸化防止剤として、また糖化反応阻害薬としての恩恵を受けている糖尿病患者は少なくありません。さらに、血栓症の危険を減らして血液循環を改善することから、黄斑変性、白内障、緑内障といった眼病に効果的であると考えられます。

メトフォルミンは、カロリー制限と同じ生物学的利益を多く提供してくれる、カロリー制限ミメティックでもあります。寿命を延長できることが唯一証明されているカロリー制限によって、白内障を含めた年齢に関する病気の発症を軽減できるでしょう。

    1. アミノグアニジン

メトフォルミンに構造が類似しているアミノグアニジンにも、遊離カルボニル基を減らす作用がありますが、特に架橋結合に貢献する特定のアルデヒドに対して活発、つまり初期段階のグリケーションに主に効果的です。

アミノグアニジンはブドウ糖分子主導のあらゆる架橋結合に有効ですが、リボース関連の架橋結合に対してはそれほど効果がありません。いずれにせよ、アミノグアニジンは腱と皮膚におけるコラーゲン架橋結合を防ぐことから、年齢に伴う筋肉や関節の凝りや皮膚老化を予防すると考えられます。また、眼病など糖尿病による合併症も抑制するアミノグアニジンが、糖尿病性腎臓病の改善に有望なこともわかっています。遊離銅が過剰になると、最終糖化産物による損害が増加しますが、アミノグアニジンには銅キレート剤としての作用もあります。

アミノグアニジンはリポタンパク質間の架橋結合を防いで動脈(特に目の小さな神経に供給する小動脈)における妨害物を軽減することから、目に役立つと言えます。白内障の予防における点眼薬としてのアミノグアニジン使用については、現在実験が行われている最中です。

糖化反応阻害薬以外にも、例えばメラトニンのように、眼病に対する効果が期待できる薬があります。

 

年齢に関連する眼疾患に対するメラトニンの効果

網膜で生産されるメラトニンの量は年齢と共に低下していきますが、メラトニン経口サプリメントを服用することで、多くの変性眼疾患から目を保護することができます。メラトニン専用の細胞受容体が目に存在するという事実は、メラトニンが視力に関連する機能に対して重要な生理的役割を演じることを示すものです。

メラトニン(N-アセチル-5-メトキシトリプタミン)が目の組織におけるフリーラジカルを中和・排除し、フリーラジカルによる損害を防止することが示されています。

現在、メラトニンが白内障、角膜炎、緑内障、網膜症、目の怪我などから目を保護する可能性が示唆されていますが、こういった病状の部分的原因は、細胞の喪失(アポトーシス)と網膜ニューロンの退化につながる、酸化損傷にあると考えられます。また、目の神経細胞における一酸化窒素のようなフリーラジカルや、軸索突起のミトコンドリアにおける過酸化物などは、パーオキシナイトライトといった危険な毒素を生産しますが、メラトニンにはパーオキシナイトライトに対抗する作用があります。

 

白内障

放射線療法を受けている癌患者の場合、照射の影響から白内障が悪化することがありますが、メラトニンサプリメントを補給することで、放射線療法による組織損傷の危険が軽減され、白内障形成から目のレンズを保護する可能性が、トルコのアタテュルク大学放射線腫瘍学部の研究者によって提案されています。

 

緑内障

メラトニンが持つ酸化防止効果が緑内障患者の眼圧を下げることが、現在進行中の研究によって示されています。

 

黄斑変性(ARMD)

メラトニンが目の色素形成をコントロールして視覚受容器に達する光の量を調節することは周知の事実ですが、メラトニンが黄斑変性の進行を遅らせることが、中国の中山大学の研究者によって新たに報告されています。

萎縮型および滲出型の黄斑変性患者100人を対象にした研究で、ウォルター・ピエルパオリ博士が開発した亜鉛とセレンを含むメラトニンZn-Seを毎晩3mgを6ヶ月間投与したところ、患者の視力が安定していたことから、メラトニンが網膜を保護して黄斑変性の進行を遅らせると結論付けています。なお、研究期間中に深刻な副作用が観察されることはありませんでした。

 

 

 

 

 

これらの眼底写真は、毎晩1錠のメラトニンZn-Se(メラトニン30mg、亜鉛50mg、セレン50mcg)を服用することで、萎縮型および滲出型の加齢性黄斑変性(ARMD)の進行が減速・逆転できることを証明しています。

写真上:左=2年間病状が悪化し続けていた67歳男性の目。右=毎晩1錠のメラトニンZn-Se を2ヶ月間服用した後の目。現在は網膜下黄斑出血が著しい改善とともに、0.3まで視力が改善されている。

写真下:左=71歳のARMD女性患者の目。右=毎夜1錠のメラトニンZn-Se)を半年間服用し続けた後の目。0.2から0.4にまで視力が改善された。

オーストリア人科学者による最近のレポートでは、目に対するメラトニンの酸化防止特性が確認されるとともに、病気に対する防衛手段として、黄斑変性患者がより多くのメラトニンを生産しようとすることが記述されています。

要約すると、現在市販されている特定の栄養分や薬を利用することで、老化の二大要因であるフリーラジカルや糖化によって引き起こされる、白内障や眼病といったさまざまな慢性疾患から目を保護できると考えられます。

 

第二章:白内障

老人性白内障は目のレンズに影響を及ぼして視力を低下させる、慢性かつ進行性の眼病です。クリスタリンと呼ばれる特別なタンパク質などの透明な材料から形成されるレンズを通貨した光が網膜に集中することで像が結ばれますが、瞳孔の後ろにある、弾性カプセルで囲まれた比較的単純な構造の、人生を通じて内側から外側へ成長するレンズが年齢に伴う損傷によって不透明に曇ると、目の内部に届く光の量が減るため、視力が損なわれることになります。

ご存知ですか?

65歳以上の4人に1人、80歳以上の2人に1人が白内障の影響を受け、世界中で毎日約28000ものケースが新しく報告され、1700万人もの人が白内障が原因で失明しています。米国では、眼科を訪れる人の43%が白内障と関係しており、白内障の治療に1年で35億ドルも費やされています。

問題は、開発途上国では資金や眼科医の不足から、白内障の治療を受けられずに失明する人が大勢いるという事実です。アフリカやアジアなどの開発途上国では、約900万人が白内障が原因で失明しています。言い換えると、アフリカでは現在100人に一人が盲目だと言うことになりますが、さらにその数は増え続けています。

私たちの寿命が延びるほど、白内障など年齢に関する病気が増え、長期的な影響を被ることになりますが、白内障は老人に限った病気ではなく、若い人でも遺伝子、ステロイドの使用、糖尿病、食事内容などが原因で発症することがあります。偏った栄養の乏しい食事ではフリーラジカルによる損傷が防げないため、高品質の野菜、タンパク質、果物などを摂取できない貧困は白内障の危険因子であると言えるでしょう。

フリーラジカルや糖化にはレンズ内部のタンパク質の架橋結合を誘発する恐れがありますが、異常なタンパク質が増えると、光が散乱して目の内部に届かなくなるうえに、レンズ内のクリスタリンが異常に歪められるため、白内障が引き起こされることになります。レンズが不透明になると光を連続的に通過させることができなくなりますが、クリスタリンに対する損害を軽減できる治療によって、白内障を効果的に改善できるでしょう。

栄養的な見解から、食事に含まれる酸化防止物質が不足することで、白内障や緑内障といった眼病の発症率が高まることが示されています。しばしば白内障患者にはビタミンA、グルタチオン、ルテイン、ゼアキサンチンといった酸化物質が不足していることが知られています。リボフラビン(ビタミンB)も、目における特定の酸化防止剤の活動を調整するために欠かせないものです。多くの専門家は、眼病予防のためにフリーラジカルから目の組織を守るパンテチン、葉酸、ビルベリー(コケモモ)を補うことを勧めています。

グルコースの血中濃度が過剰になると、糖化によるレンズの破壊率が加速するため、糖尿病患者の白内障発症率が高くなりますが、新鮮な果物や色の濃い野菜に多く含まれるケルセチンなどの栄養分が、糖分とタンパク質の反応を促進するアルドース還元酵素の作用を妨げ、レンズにおけるタンパク質の破壊率を減らすことがわかっています。

つまり、栄養不足や糖尿病によってレンズ内のクリスタリン破壊が進むことで、白内障の発症率が高まるのです。

  • 網膜剥離(8%)
  • 角膜移植を必要とする角膜浮腫(1%)
  • 視力を調整する能力の損失。

また、白内障手術を受けた患者の30~50%に、レーザー手術の追加を必要とする徴候の再発が見られるという問題もあります。

ご存知ですか?

米国では1年間で約2万6千人もの患者が白内障による合併症を起こし、そのうち約7千人が手術による合併症から失明しています。

さらに、外科手術後には死亡率が高まるという危険があるだけでなく、白内障そのものも死亡率の増加と関係していることが、統計的に示されています。これは、白内障が死を誘発するということではなく、単に白内障が全身に影響を及ぼす老化の加速を示す徴候であることを意味しています。つまり、老化の加速によって死の危険性が増すということです。

ロバート・メーソン博士は2003年に「白内障研究を軽視する向きもあるが、白内障患者の著しい増加や合併症の頻度から考えて、白内障研究が重要なことは明白である。レンズの透明度を維持するための医学的解決が早急に求められるが、白内障の発症を10年送らせるだけでも、全体的な利益は非常に大きなものとなる」と述べています。

 

第三章:Nアセチルカルノシン点眼薬

白内障の発症にはフリーラジカルが大きく関与しています。日常的に生産される有毒な代謝副産物であるフリーラジカルが細胞膜内の脂質から分子を奪い、その結果細胞に損害を与えるプロセスは、脂質過酸化反応と呼ばれています。白内障の初期段階では、脂質過酸化が起きたことを示す化学物質の蓄積が相当量見られますが、これは既にレンズの構成要素が損害を受けていることを意味します。レンズに対する損傷は、フリーラジカルによる更なる攻撃によって、最終的に視力を失うほど深刻なものに成りかねません。

レンズを保護している房水に含まれる脂質タンパク質は、レンズ内部への損害を悪化させて透明度を低下させるフリーラジカルによって、簡単に害さてしまいます。

脂質過酸化反応は、特に目にとって危険な進行性の破壊プロセスですが、レンズの脂質含有量がフリーラジカルによる攻撃に弱いことが、いくつかの実験によって示されています。レンズのクリスタリン繊維が損害を受けると視力が低下しますが、グルタチオンのような酸化防止剤を使った治療が白内障を予防し、その進行を減速することがわかっています。

ご存知ですか?

ごく少量のフリーラジカルや脂質過酸化反応でも、白内障の誘発には十分です。体内で作られるフリーラジカルだけでなく、目のレンズは紫外線の影響も受けます。目を通り抜けた光とキヌレニンなどの特定の化学物質との間に生じる光酸化と呼ばれる反応は、クリスタリンと結合してより多くの架橋結合を引き起こす、フリーラジカルをはじめとする更なる有害物質を生産します。このプロセスは、老化、糖尿病、薬など、原因の如何にかかわらず、あらゆるタイプの白内障で起こるものです。

 

NACの作用と特性

Lカルノシンと共通の特質を持つ天然合成物Nαアセチルカルノシン(NAC)の分子構造は、アセチル基を運ぶものを除いてカルノシンと類似しています。このように、レンズ周辺に生じる異なる化学反応や酵素によって容易に破壊されない安定した分子構造を持つNACは、レンズとその周辺組織に入った後に、あらゆるフリーラジカルを捕捉し、フリーラジカルによる損害を修復する、活性型Lカルノシンに分解されます。

カルノシン分子が天然酵素であるカルノシナーゼによって分解されてその効果が失われてしまうことから、純度の高いカルノシンの点眼は難しいと考える科学者もいますが、カルノシナーゼに抵抗するNACは理想的な点眼薬であると言えます。通常、レンズにおけるカルノシン濃度は平均して25マイクロモルですが、白内障を発症すると5マイクロモルまで低下してしまいます。しかしながら、NACを投与することでレンズ内のカルノシンが増えるだけでなく、Lカルノシンの臨床効果も最適化されます。

また、カルノシンおよびNACを正確に製造することも重要です。肉由来のカルノシンは、ヒドラジンや重金属塩などの不純物に汚染される恐れがあるため生物活性が低く、精製後のカルノシンが再び金属イオンと結合して汚染されてしまうため、クロマトグラフィーといった従来の方法ではカルノシンの精製は難しいと言わざるを得ません。

 

研究

モスクワ・ヘルムホルツ研究所で行われた眼病に関する初期実験で、ウサギにそれぞれ1%濃度のNAC点眼薬と偽薬を投与したところ、約15~30分後にNACが角膜から房水へと目の内部にまで到達した後にカルノシンに分解され、フリーラジカルおよび糖化プロセスに働きかけることが確認されました。NAC点眼薬には、活性成分が細胞の奥深く到達して、房水内および細胞における脂肪質の構成要素内で作用するという利点があります。なお、副作用に関する報告は実験を通していっさいありませんでした。研究者は、NACが白内障、緑内障、網膜変性、角膜障害、炎症、糖尿病による合併症など、フリーラジカルによる損傷から誘発される眼病の治療薬として有効であると結論付けています。

平均年齢65歳の老人性白内障患者49人を対象に行われた画期的な研究では、それぞれNAC点眼薬(1%)投与群、偽薬投与群、治療を行わない群に分けられました。

研究開始後2ヶ月目と6ヶ月目にレンズのスキャン、グレア検査、スリット像、反帰光線法によって患者の状態を評価してコンピュータ分析したところ、治療を行わなかった群と比較して、NAC点眼薬を投与された群には以下のような結果が示されました。

  • 約41%にレンズ濁りの著しい縮小が示された(6ヶ月目)。
  • 90%に段階的な視力改善が示された。
  • 89%に最高100%のグレア感度改善が示された。

この結果は2年に及ぶ研究期間を通して継続されるとともに、研究機関中に深刻な副作用、アレルギー、目の不快感などが報告されることはありませんでした。研究者は、「NACは老人性白内障の非外科的治療法として適していると考えられる」と結論付けています。

ご存知ですか?

雪解けに例えられるレンズ白濁部分の段階的な縮小は、NAC点眼薬を使った犬の実験の場合1ヶ月以内、ウサギの実験の場合1~3ヶ月以内に始まることが確認されています。

人間を対象にした実験でも、1日2回4ヶ月間の使用で目の透明度が改善され、白濁部分が縮小されるという、類似した結果が示されています。こういった結果は軽症に限らず、進行した成熟性白内障でもレンズの透明度が高まり、完治できないものの、レンズの全体的な品質が改善されることが示されています。深刻な白内障の場合は、改善が確認されるまで、少なくとも5ヶ月間の使用が必要なこともあります。

ロシア州立ピロゴッフ医科大学、ヘルムホルツ眼病研究所(モスクワ)、実験的眼科学研究所(ボン大学)の科学者らが、Can-C点眼薬として市販されている、下記成分から成るN-アセチルカルノシンを調査しました。

  • イオン除去水
  • グリセリン
  • N-アセチルカルノシン
  • カルボキシメチルセルロース
  • ベンジルアルコール
  • カリウム・ホウ酸塩
  • 重炭酸カリウム

これら全ての成分は、潤滑油として作用するだけでなく、N-アセチルカルノシンの効力を安定・強化させます。科学者は、合計50の目に白内障を患う30匹の犬を、上記成分を含むCan-C点眼薬を1日2回6ヶ月投与する群と、偽薬を投与する群と、治療を行わない群に分け、治療効果を評価するために、実験前と実験後にそれぞれスリット像と反帰光線法を用いてレンズを検査しました。

実験終了後には、Can-C点眼薬を投与された目の96%が改善されたことが、写真技法と眼底検査によって示されました。

改善は4~6週目から始まり、6ヶ月の実験期間中継続しました。初期段階では雪が溶けるようにレンズの端から始まった白濁部分の縮小が、時間の経過とともにレンズ中央部分へと進んでいきました。

科学者は、レンズ内部でN-アセチルカルノシンがカルノシンへ変換すること、およびカルノシンが糖化による有毒な副産物と反応して架橋結合を軽減することが、白内障の改善につながると考えています。さらに、カルノシンがレンズにおける異常に架橋結合したクリスタリンの特定部分に化学的に反応してタンパク質を放出することで、光をレンズに通すという可能性もあります。

カルノシンはグルタチオンと共に作用してS-S結合(ジスフィルド結合)を部分的に破壊することでクリスタリンの機能を回復させ、異常なタンパク質の除去を速めます。つまり、カルノシンは架橋結合されたタンパク質を排除してレンズの明度を保ちます。

 

最近の研究

NAC(Can-C™点眼薬)の有効性に関する更なる証拠が、ごく最近の臨床試験によって提供されています。NACに関する初めての実験を行ったロシアの研究者は、更に53~83歳の合併症のない老人性白内障患者75人の患者を、白内障を患っていないもののグレア感度に問題がある54~78歳の健康な高齢者72人と比較する実験を行いました。対象者も実施者も重要な側面を知らされない偽薬対照法で9ヶ月行われた実験の結果、NACを投与された群に、視力およびグレア感度といった統計的に有意義な改善が示されましたが、病状が深刻であった患者ほど最大の改善が見られたうえに、眼性および全身性の副作用、炎症、アレルギー反応などが確認されることもありませんでした。また、Can-Cの売上実績を分析した研究者によって、2001年の販売開始から2010年までに、およそ50万本が数千人もの患者に使用されてきたことも報告されました。

更に白内障を患う犬にN-アセチル-カルノシンを投与した実験では、病気の初期段階ほど効果が高いことがわかりました。

ケンブリッジ大学獣医学部の科学者が、異なるステージの白内障を患う犬に対する効果を調べるために、異なる種類の30匹の犬に2%のN-アセチルカルノシン点眼薬を1日3回投与した実験では、検眼鏡検査および細隙灯生体顕微鏡検査を定期的に行い、その状態を専門的に撮影したところ、すべての白内障に改善が認められたものの、初期段階であるほど効果が高いことが示されました。科学者は、N-アセチルカルノシンを含む局所栄養的な酸化防止製剤を使うことで、相当数の犬の白内障に周辺的なレンズ白濁部分の縮小が示されたこと、未熟白内障および成熟白内障における核硬化症や、眼内炎症性病理を伴う白内障におけるレンズの混濁形成が縮小されたと結論付けています。

カルノシン分子が持つ酸化防止および反糖化の特性が、N-アセチルカルノシンが白内障の進行を遅らせる理由であることが、中国人科学者によって確認されています。

N-アセチルカルノシンの利益は、カルノシンの類似分子であり、酸素分解に抵抗する、つまり酵素によって容易に分解されないカルノシンと結合することで高まります。加水分解に敏感で、カルノシナーゼ(酵素)によって簡単に分解されるカルノシン分子と違って、目で不活性化されることのないN-アセチルカルノシンとカルノシンの組合せは、理想的だと言えるでしょう。ちなみにこの組み合わせは、構成要素を脂質過酸化から保護することから、一部のメーカーから皮膚の健康に有効な市販薬が提供されています。

パンテチン分子とN-アセチルカルノシン分子が共に作用することで、他分子の細胞への出入りを助け、レンズにおける異常タンパク質の濃度を減らすことで、白内障の進行を遅らせることが、最近になってロシアの科学者によって報告されています。彼らは、UV放射線によってレンズ内の異常クリスタリンが増加することが、白内障の一因と成り得ることも確認しています。N-アセチルカルノシンは異常クリスタリン(βⅠクリスタリン)の形成を遅らせますが、これは酸化防止能力ではない、他のメカニズムによるものであると考えられています。これはN-アセチルカルノシンが白内障における異なる局面に、異なる方法で作用することを示すものです。

 

写真

下記の写真は、いずれも1日4滴のCan-C点眼薬による治療効果が確認できるものです。

 

 

 

 

上:広範囲に及ぶ白内障を患うウサギの目。左は治療前。中央は治療中であるが、既に白内障が著しく減少したのが分かる。右は更に時間が経過したもので、白濁部分がより小さくなっていることが見て取れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

中:白内障を患う犬の目。治療前である上の写真には広範囲に渡る白濁があるが、治療からわずか1ヵ月後に撮影された下の写真では、白内障の分解が既に始まっていることが分かる。犬の目には人間の目と違って点眼薬の有効成分を損なうカルノシナーゼが存在しないため、効果が現れるのが比較的早い。

 

 

 

 

 

下:女性白内障患者の目。治療前の左の写真にはコウモリのような形をした白濁部分が確認できるが、5ヶ月間の 治療によって白内障が消え、レンズの透明度が増したことが右の写真で確認できる。

 

その他の徴候

NAC点眼薬は白内障だけでなく、フリーラジカルによる損傷が原因の下記のような眼病にも有効です。

緑内障(特に原発開放隅角緑内障)

緑内障は眼圧の上昇によって視力が損なわれる病気ですが、点眼薬によってフリーラジカルや糖化による損害が防止され、房水の流れが改善されるように見受けられます。眼圧の上昇にはさまざまな原因がありますが、例えばフリーラジカルによってネット状のグリコサミノグリカンと呼ばれる分子の生産が不足すると、房水の生産と除去に関する生物学的問題が誘発されると考えられています。

さらにフリーラジカルは、目に存在する特別な細胞である網膜ガングリオン細胞や網膜神経節細胞を死滅させる毒素を刺激する他に、終末糖化産物(AGE)の蓄積を通して、その他の細胞を退化させることも可能です。最終的にフリーラジカルは緑内障における免疫反応の活性化にも関与し、抗原の細胞への結合方法を変更します。このように、フリーラジカルが緑内障形成に関与していることは明白です。

ケンタッキーにあるルイビル医学部大学眼科学部および視覚科学部の研究者が2007年に発表した調査では、AGEが緑内障に深く関与していること、網膜神経節細胞だけでなく、網膜と視神経における他の細胞や、層状篩板などの細胞外組織にも影響を及ぼすことが確認されました。一般的に緑内障の影響を受ける篩板が堅くなると、臨床白内障に貢献する関連イベントが誘発されることから、酸化防止剤だけでなく、カルノシンやカルシニンといったAGE予防剤の使用も有効なことが提案されます。酸化防止剤の観点から言うと、ビタミンCも考慮するべきですし、グルコサミンの経口服用でグリコサミノグリカン構造を保護・修理し、房水生産を改善することもできます。

緑内障に使われる酸化防止剤は以下の通りです。

  • ビタミンB12
  • ビタミンE
  • マグネシウム
  • 亜鉛
  • リポ酸
  • メラトニン
  • イチョウエキス
  • フォルスコリン

これらをカルノシンと併用することで酸化防止作用が高められるため、目の組織への損害と緑内障の危険性を減らすことができます。NAC点眼薬は緑内障の治療に使われるβ遮断薬と併用できますし、上記サプリメントの一部あるいは全部を追加することも可能です。

 

ドライアイ、疲れ目、目の痛み(コンピュータ視覚症候群といったコンピュータの使用によるもの、コンタクトレンズの使用によるもの、空調によるものを含む)

コンピュータ視覚症候群(CVS

アメリカ検眼協会が「近見視力にストレスを与えるコンピュータの使用に伴う目および視力に関する問題」として定義しているCVSの徴候には、光が眩しく感じられる、物が二重に見える、涙目、眼精疲労、かすみ目、頭痛、目の焦点を合わせるのに時間がかかる、目が熱っぽい、炎症、ドライアイなどが含まれます。CVSを防ぐには、反射を軽減させるスクリーンを使って、正しい姿勢で、定期的な休憩を挟みながらコンピュータを使用する必要があります。また、テキサス大学眼科学部の研究者は目薬の使用も勧めていますが、グリセリンとカルボキシメチルセルロースを含むN-アセチルカルノシン(Can-C)点眼薬が目に潤いを与え、角膜への傷が原因の過剰な瞬きによる炎症を緩和し、グレア感度を軽減させることが証明されています。

 

コンタクトレンズ

外界の刺激物から目を保護する液膜を改善し、乳酸濃度を減らして目の不快感や炎症を防ぐ潤滑剤を含むCan-C点眼薬を使うことで、ソフトコンタクトレンズを長く快適に装着し続けることができます。コンタクトレンズの使用によって角膜への酸素供給が妨害され、目の外部層の通常代謝が阻害され、含水量、鉱物、ブドウ糖といった角膜構成要素のバランスが崩され、角膜の異常代謝によって乳酸がされることで痛みが生じる恐れがありますが、NACとその派生物であるカルノシンがあらゆる乳酸分子を特定して不活性化することから、乳酸濃度が軽減されるとともに、角膜の全体的な代謝が改善されます。

 

ドライアイ症候群

ドライアイ症候群というのは、涙液の不足や涙の質に異常が起こることで目の表面が乾いてしまう病気です。こういった異常はコンタクトレンズの使用によって誘発されることもあります。通常、目の表面は粘液層によって保護されていますが、粘液構成に異常をきたすと保護能力が低下してしまいます。NAC(Can-C)点眼薬に含まれるグリセリンは、レンズ接眼面におけるモイスチャライザーの働きを通して腫れを減らし、角膜上皮を通して水を引きつけることで靄を減らします。ドライアイ症候群は、乾燥した埃っぽい環境で生活している人、シェーグレン症候群や更年期障害を患っている人など、コンタクトレンズを使わない人にも影響します。

 

黄斑変性

黄斑変性というのは、遺伝子を含めた未知の原因に加えて、フリーラジカルやUV放射線が元で網膜の中心にある黄斑に障害が生じることで視力が低下する慢性変性障害です。NAC点眼薬がフリーラジカルによる損傷から目を保護し、目への血液循環を改善することで、グレア反射を軽減させ、色覚を改善することが証明されていますが、黄斑変性の場合は錠剤ほど役に立たないのではないかという懸念がありました。白内障と黄斑変性を患う患者に、副作用が生じた例も1件あります。一時的ではあるものの、NAC点眼薬が黄斑変性を悪化させたことから、更なる研究によってこの点がはっきりするまで、経口薬に限ってカルノシンを使用するのが賢明でしょう。

 

感染症と角膜炎

カルノシンの経口投与によって炎症が軽減し、創傷治癒が促されるなど、体全体の器官に対する抗炎症作用のあることが、中国人科学者によって発見されています。また、別の研究では、NAC点眼薬が角膜炎や虹彩炎といった特定の眼感染症の危険性を有効に軽減することも明らかにされています。これは、抗生物質の代わりに点眼薬を使用するという意味ではなく、白内障治療に用いることで、追加的に抗感染作用が得られる場合があるということを意味しています。

2006年に発表されたロシアの調査では、5%濃度のカルノシン点眼薬が損傷を受けた目の有害酵素濃度を減らすこと、カルノシン点眼薬との併用治療の効果を高めることが明らかにされています。

 

第四章: 成分と純度

白内障治療に使われるCan-C点眼薬は、N-アセチルカルノシンの他に含まれる、特別な成分との組み合わせによってバランスが保たれ、NAC分子が安定されています。

Can-C点眼薬を開発した、モスクワ(ロシア)とデラウェア(USA)に支店を持つイノベーション・ビジョン・プロダクト(IVP)は、Can-C点眼薬の効果を高めて安全性を保つには、構成成分の純度とバランスを保つことが重要なことを強調しています。つまり、特許取得の技術を用いて正確に製造された、その効果と安全性が臨床試験で証明されたCan-C点眼薬だけが、安全に長期使用できる製品だと言うことになります。

残念ながら中には道徳意識のない会社が不法にN-アセチルカルノシンを製造していますが、そういった製品は有効性や安全性を欠くものです。さらに、付加価値をつけようとしてビタミンAやEを加えた製品もありますが、単独では有益な場合もあるこれらのビタミンは、N-アセチルカルノシンの作用を妨げるうえに、ビタミンとN-アセチルカルノシンの組み合わせに関する有効性や安全性に関する臨床試験が存在しないため、長期使用によって目に損傷を与える恐れがあります。従って、このような詐欺まがいの危険な製品を間違って購入しないように、十分に気をつけて頂きたいと思います。

IVPが開発した特別な技術によって製造された純度の高いNAC点眼薬には、NAC分子を安定させる微量金属イオンがバランスよく含まれています。金属イオンが多過ぎても少な過ぎても点眼薬の効果が損なわれるため、その効果を最大にするには、これらのイオンを正確に組み合わせることが重要です。

成分が正しく組み合わせられたN-アセチルカルノシンが目に達した後で放出されるカルノシン分子は、脂質過酸化に対してより効果的ですが、他社製品のように、NAC構成要素に異成分が加えられると、N-アセチルカルノシンからL-カルノシンに変換されない場合があるため、全工程が台無しになってしまいます。さらに厄介なのは、余分なビタミンや他の合成物が加わることで、アレルギー反応や目の炎症が誘発される恐れがあることです。

白内障に関するNAC点眼薬の効果を発見したのは他の科学者であると主張するメディアもありますが、合法的な研究を発表しているのはマーク・バビザエフ博士だけです。したがって、更なる研究が発表されるまでは、バビザエフ博士の忠告に従って、ビタミンを加えたNAC点眼薬の使用を控えた方が賢明だと言えるでしょう。

ビタミンの使用によって白内障が改善されたことを示す研究もありますが、これらは経口薬に関するものであり、ビタミンとNAC点眼薬の組み合わせによる効果を評価したものは1つもありません。一方で、ビタミンC点眼薬を数ヶ月間使用した患者に角膜沈着物による視力の悪化が見られたことが、マレーシアのクアラルンプール病院で報告されています。

さらにブルガリアでビタミンC点眼薬が糖化を促すカルボニル基の増加をはじめとするレンズの変化を誘発するという既知の事実を踏まえて、カルノシンを含めた複数の化学物質の影響に関する研究を行ったところ、カルノシンやアミノグアニジンがレンズにおけるカルボニルを還元して目を保護することがわかりました。カルボニルはビタミンCによって作られるため、ビタミンCを経口服用した場合は白内障に効果的でも、点眼薬の場合は目に損害を与える恐れがあります。

経口ビタミンの利点から、特定のビタミンと栄養分が白内障の予防に効果的なことが、インドのアガッサー・リサーチ・インスティテュートによって明らかにされました。白内障を患っていない100人と、白内障患者143人(50~70歳)の食事内容を比較し、ビタミンA、C、ミネラル、セレンといった栄養濃度を研究したところ、白内障患者の場合はフリーラジカルやクロスリンクのレベルが高く、ビタミン血中濃度が正常以下であったことから、ビタミンと酸化防止物質のレベルが高いほど白内障のリスクが低いことがわかりました。

カルノシンがアセチル化されたNACには、アセチル基の相互作用によってビタミンEなどの他分子を中和する可能性があります。ビタミンEなどをアセチル化学物質に混ぜることで製品の効果が失われることが実験によって示されていることから、1つの液体混合物にNACとビタミンを使うことは賢明だとは言えません。

つまり、ビタミンA、C、Eといった酸化防止作用のあるビタミンを経口服用した場合は、白内障に対する効果が得られる場合がありますが、点眼薬として使用する場合は、効果が得られないばかりか、目に損傷を与えることに成りかねないと言うことです。

 

第五章:詳細

 

よくある質問

*白内障予防の場合どれくらいの期間点眼薬を使用する必要がありますか?

まず、1日1~2滴を少なくとも5~6ヶ月使用されることをお勧めします。その後は、連続的なフリーラジカルからの攻撃からレンズを守るために、長期に渡って低用量を使用するといいでしょう。白内障は年齢と共に進行するため、点眼薬の使用を止めることで状態が悪化しないように、期限を切らずに使用し続けることをお勧めします。点眼薬を使用したことのない人と、途中で使用を止めた場合の白内障の進行率の違いについては、今のところ明らかにされていません。

*どうしてカルノシン点眼薬には効果がないのですか?

目の房水にはカルノシンを破壊するカルシナーゼが高濃度に含まれているからです。一方でNAC点眼薬の場合は、房水を通過した後、レンズに到達した時点でカルノシンに変換されるため、カルノシナーゼの影響を受けることなく効果を発揮できます。

*動物実験の結果から人間にも効果的であると考えるのは何故ですか?

ウサギや犬のレンズ構成が人間のレンズと似ているからです。また実際に、動物実験で示されたNAC点眼薬の利益全てが人間でも得られることが明らかにされています。動物実験の方が安価で簡単ですが、その結果は人間の研究に匹敵するものです。

*NAC点眼薬と併用すべきサプリメントや栄養分はありますか?

白内障、緑内障、加齢性黄斑変性などの予防には、ルテイン、ゼアキサンチン、メラトニン、アミノグアニジン、経口ビタミン、グルタチオン、イチョウ葉エキス、セレン、ベリー、色の濃い果実や野菜などが効果的であるとされていますが、過剰に摂取することでレンズにルテインが蓄積するため、天然の酸化防止作用が低下することが示唆されています。ルテインによってレンズにおけるSOD、グルタチオン還元酵素、グルタチオン・ペルオキシダーゼといった酸化防止酵素の活性が低下すると、白内障が悪化することがあります。また、ルテインサプリメントが、レンズの天然酵素活性を保護するN-アセチルカルノシンやカルノシンの作用を妨げるという証拠もあるため、NAC点眼薬を使用している間はルテインの摂取を避けることが賢明でしょう。

*その他、白内障予防に関するアドバイスはありますか?

白内障や黄斑変性といった慢性変性眼病は紫外線や外部のフリーラジカルによって悪化する恐れがあるため、外出の際は強い陽射しを避けるために紫外線を完全に防ぐタイプのサングラスを着用し、喫煙や汚染を避けるよう心がけてください。特に慢性眼病にかかりやすい人は、横からの紫外線も防げる眼鏡を選んでください。

*NAC点眼薬が白内障治療薬として市販されていないのは何故ですか?

白内障を分解することが実験で示されているものの、白内障治療薬と銘打ってしまうと、医者しか扱えなくなってしまうからです。つまり、医者の処方箋を必要としない潤滑油という名称で販売した方が、できるだけ多くの人に提供できるからですが、点眼薬は必ず医師の監督下で使用してください。

*ある 抗白内障点眼薬がTV番組で取り上げられているのを見ましたが、これは点眼薬が公式に承認されたということですか?

TV会社にそういった権限はなく、薬を承認できるのは英国ではMHRA、米国ではFDAといった専門機関に限られています。また、TV番組や新聞に取り上げられる製品全てが、研究によって効果が保証されているとは限りません。点眼薬としての効果が研究によって証明され、その結果が査読済み科学雑誌に発表されているのはCan-Cだけです。

*Can-C点眼薬が他の Nアセチルカルノシン製品と違う点は何ですか?

製造工程が全く違います。中には汚染物質ヒドラジンが含まれる製品もありますが、Can-C点眼薬はその純度を保つために、企業秘密のガイドラインに従い、cGMPプロセスを使って製造されています。

*Can-C点眼薬と他製品を見分ける方法はありますか?

ホログラムをラベルで確認してください。他社製品には効果がないだけでなく、その使用に危険が伴うこともあるため、ご購入の際には十分に注意してください。

*私は気温の高い地域に住んでいます。点眼薬をどのように保存すればいいでしょうか?

開封前の製品は室温で長期間保存できますが、冷蔵庫(2~8℃)で保管する方がいいでしょう。いったん開封した製品は担当医の指導に従って3~4週間以内に使い切るようにしてください。1日に1~2滴を2回点眼するのが一般的な使用量とされています。

*これだけ効果があるのに、すべての眼科医が使っていないのはどうしてですか?

多くの眼科医は相当量の研究結果を待ってから新製品を使用し始めます。それには数十年という歳月が必要なこともありますが、その間も病気は進行し続けます。NACは2001年以降何万人もの患者に使われてきましたが、今のところ深刻な副作用は報告されていません。

*Can-C点眼薬は犬にも使えますか?

もちろんです。Nアセチルカルノシン点眼薬は、人間と同じように、犬、猫、馬、兎などの白内障にお使い頂けます。犬の目にはカルノシンを分解するカルノシナーゼという酵素がないため、人間よりも早い効果が期待できるでしょう。

 

事例研究

秘書として勤務した後、現在は弁護士事務所でパートタイムのアシスタントをしている、イングランド南部に住むパム(64歳)は、車を運転して遠くの友達に会いに行くのが趣味でした。煙草を1日に5~10本程度吸いますが、定期的な運動を心がけていて、これまで血圧が少し高い以外は特に問題がありませんでしたが、対向車のヘッドライトが眩しく、夜間の運転が難しく感じられるようになりました。

対向車のライトを眩しく感じる、つまりグレアが生じるのは年輩者にありがちな徴候であると担当から告げられたものの、時間とともに問題は悪化し、視界がぼやけるようになってきました。眼底検査の結果、主に左目そして右目にも白内障が認められたものの、さらに進行するのを待ってから手術するしかないと聞かされたため、知人に尋ねたりインターネットを調べるうちにN-アセチルカルノシン点眼薬にたどり着きましたが、製品によっては使用に危険が伴うと聞き、心配になったため、友人に紹介された信頼できる医師に会いに行くことにしました。

そこで副作用のないことが唯一証明されているCan-Cを紹介され、両目に1日2度の点眼を6週間続けたところ、視界がはっきりし始め、夜間の運転が楽になったことに気付きました。現在でもCan-Cを定期的に使用し続けていますが、点眼薬を使い始めて以来、白内障の進行はないことが確認されています。

 

NAC開発の歴史

NACに関する研究と眼病への使用が始まったのは1991年のことです。NACが目のレンズに到達した後にカルノシンに変換されることが研究で示された後、1996年にNACと白内障に関する最初の臨床研究が発表されました。

兎などを用いた動物実験でNAC点眼薬の使用から1ヶ月以内に白内障が外側から内部へゆっくり分解されることが示された後、人間に対する効果を調べるために、その結果を効率的かつ正確に判断できる方法として、研究チームによってレンズ不透明部の変更に非常に敏感な、3Dコンピュータ・グラフィック、ステレオシネマトグラフィックイメージ、デジタル分析による反帰光線撮影といった技術を用いたグレアテストが開発されました。

最高で24ヶ月間NAC点眼薬を患者に継続投与したところ、白内障患者の視覚が改善されたこと、治療を通じてその効果が持続すること、白内障が再発しないことが確認されました。この実験以降、患者はさらに1年間点眼薬を使用しましたが、その効果が持続し続けるとともに、副作用の徴候はいっさい見られませんでした。

 

副作用の報告例

副作用の報告は極めて少ないものの、一部の人(千人に一人程度)は点眼薬の使用によって目に刺激を感じると報告しています。刺激の度合いは目のpHによって人それぞれです。

目に異物が入っていたり、コンタクトの着用によって刺激を感じることもあるので、コンタクトレンズを取り外し、目を洗ってから点眼薬を使用されることをお勧めします。点眼後は薬が房水に完全に到達するまで15分ほど待ってから、コンタクトを再び着用してください。

非常に稀なケース(一万人に一人)として、点眼薬の使用後に視界が曇ることがありますが、2~3時間後に解消されます。これはカンジダなどのイースト感染症が点眼薬に含まれるベンジルアルコールと作用して起こると考えられるため、点眼薬を使用する前にイースト感染症を治療する必要があります。

 

概要と結論

老化や糖尿病などの慢性疾患と関係のるフリーラジカルや糖化によってレンズが曇ることで、光と視覚映像の網膜への到達が妨げられる白内障は、世界中で失明の原因とされる深刻な病気です。N-アセチルカルノシン点眼薬が簡単に目のレンズに届けられること、フリーラジカルを攻撃し、糖化を妨げ、損傷部分をレンズから除去し、糖化タンパク質を溶かすことで、レンズの透明度が増して視界が改善されることがわかっています。その有効性と安全性が実験によって証明されているのはCan-Cだけであり、ビタミンなどが加えられた他のN-アセチルカルノシン製品の長期使用が有害に成りえることに注意が必要です。

 

第六章:リソースガイド

用語集

抗酸化物質:フリーラジカルを軽減もしくは不活性化する化学物質。

カロリー制限ミメティックス:カロリー制限による利益を模倣する栄養分や薬。

カルノシナーゼ:カルノシン(アミノ酸アラニンとヒスチジンからなるペプチド)を分解する酵素。

クリスタリン:目のレンズに存在するタンパク質。

糖化(グリケーション):糖分のタンパク質やDNAへの結合。

分子:DNA、タンパク質、アミノ酸、ビタミン、酵素など、個々の化学特性を持つ構造。

眼底検査: 特別な器具を使って目の内部を検査する方法。

プラセボ:薬の効果を調べるための比較対照として研究で使われる治療効果のない薬。

 

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