マリオス・キリアジス博士

特許取得のN-アセチルカルノシン点眼薬(Can-C)が白内障をはじめとする眼疾患の治療に使われ始めて数年が経ちましたが、その間、穏やかな改良から症状の完全解消まで、何千もの患者に視力の改善が見られました。メーカーによると、現在までに50万本以上が世界中で販売されているということです。

N-アセチルカルノシン(NAC)というと、白内障に関する研究が印象的ですが、その他にも、緑内障、眼の炎症、コンピューター・アイ症候群、コンタクトレンズに関する問題、ドライアイ、グレア(不快感や物の見えづらさを生じさせる眩しさ。程度によっては眼の障害や状況把握能力の低下による事故にもつながる)などにも有効なことが証明されています。

世界中における全ての失明症例の半数以上の原因が白内障であることが知られていますが、NAC点眼薬の使用によって、白内障の原因となる、年齢にともなうクリスタリン(水晶体を構成するタンパク質)の会合による変性を防げることが、研究によって示されています。

 

白内障

イミダゾール含有のジペプチドであるN-アセチルカルノシン(NAC)は、クリスタリン機能に対する有効なモジュレータ(修飾薬)であり、カルノシナーゼ(組織中のカルノシンを破壊する酵素)に強く、眼の損傷を引き起こす、酸化やグリケーションに関するストレスを軽減します。

NACの働きに関する研究では、別のイミダゾール含有ジペプチドであるカルノシンとの類似性が示されています。NACおよびカルノシンは、薬理学的シャペロン(他のタンパク質の機能を支援するタンパク質)およびヒートショックプロテイン(痛んだ細胞を修復する働きを持つタンパク質)エンハンサーとして、眼に潤いを与える点眼薬に使用されていますが、加齢黄斑変性症にさえ有効な可能性が示されています。

 

緑内障

原発開放隅角緑内障の場合、前眼部にかなりの酸化性損害が見られますが、この酸化性損害は、未熟児網膜症を含め、緑内障、白内障、加齢黄斑変性症など、他の多くの眼疾患とも関係しています。したがって、酸化性損害を減らす作用のあるNACに顕著な利益が示されていますが、白内障だけでなく緑内障にも有効なことが、次第に明らかにされつつあります。

NAC点眼薬と経口の非加水分解カルノシンの組み合わせは、緑内障や白内障に加えて、治療が難しいとされる成熟白内障にも有効な治療法であると考えられます。この組み合わせは、ベータ遮断薬およびアドレナリン作動薬治療などの、従来の緑内障治療に加えることも可能で、カルノシンの追加によって治療を強化することができます。NACとカルノシンの組み合わせは、更なる眼の損傷を最終的に防ぐ神経機能を規制し、アポトーシス(細胞死)を調整し、眼組織内における健康な細胞の不必要な損失を縮小します。

 

乾燥、炎症といった眼に関する問題

Can-CにはNACの他にもいくつか潤滑剤が含まれているため、コンピュータースクリーンやコンタクトレンズの使用などによるドライアイや炎症の治療にも使われています。またNACの内容物は、目の炎症の結果引き起こされる過度のフリーラジカルにも有効に対処します。白内障や緑内障を患っていなくても、ドライアイなどの症状がある場合は、深刻な眼疾患につながらないように、リスクを軽減する目的でお使い頂けます。Can-C点眼薬を使用している患者によって、眼精疲労、角膜疾患、老眼、視力障害といった広範囲に及ぶ症状に有効であることが報告されています。

 

特許取得のNAC

過去数年に渡って、NACの生物活性を損なわずに直接眼組織に届ける方法についての研究が行われてきました。つまり、眼内におけるNACの生物学的利用能を増加させることで、角膜内部のカルノシン活性をできるだけ長く保つことが狙いであり、そのために研究者は、核磁気共鳴やエレクトロスプレイイオン化質量分析といった多くの近代技法を使用しました。

特許を取得したNACの特定の製造工程には、目のドラッグデリバリーシステム(DDS。体内の薬物分布を量的・空間的・時間的に制御してコントロールする薬物伝達システム)におけるいくつかの角膜吸収プロモーターとともに、粘膜付着性のセルロース系合成物が含まれていますが、この組み合わせによって、眼内でNACの有効成分が最大限に、長期に渡って持続できることが保証されます。

既に述べた通り、NACが白内障だけでなく、原発開放隅角緑内障や加齢黄斑変性症といった酸化が関係している他の眼疾患の治療にも有効なことが、研究によって明らかにされています。しかしながら、このような有益な効果は、点眼薬のドラッグデリバリーシステムに依存しているため、正確な方法で製造された製品を使用することが重要になってきます。

一部の科学者たちは、眼組織に対するNACの抗酸化作用は間接的なものであり、その利益については、例えばCan-C点眼薬®など、製剤によると考えています。この問題については、かなり詳細に討議されてきましたが、依然として見解は分かれたままです。

 

不成功に終わった治療

Can-C点眼薬を使用した患者たちから、以下のような声が寄せられています。

「私の左目は日光に対して極端に敏感でしたが、今はほとんど問題がありません」

「視力が0.5から0.8にまで改善されました」

「Can-C点眼薬の使用によってレンズの曇りがなくなり、右目の視力が0.6から1.0に改善され、正常眼圧緑内障が治ったと診断されました」

「Can-C点眼薬の効果を確かめるために、視力検査医によるチェックを受けたところ、右目に3年間、左目に半年間患っていた白内障が消えていると告げられました」

しかしながら、否定的な報告書もありました。他の治療薬と同様に、NACの使用も失敗なしでは有り得ませんでした。例えば、数ヶ月間の使用にも関わらず、何の改善も見られなかったケースがありました。原因はいくつかありますが、NAC点眼薬の単独使用は、成熟白内障の場合はあまり有効ではなく、軽度の白内障および予防により効果的であると考えられます。とはいえ、成熟白内障患者にも効果が確認されたという報告があることから、どのようなケースでも一度試してみる価値はあるでしょう。

よりいっそうの効果を得るためには、眼疾患を改善することが証明されている、Nアセチルカルノシン経口薬であるCan-CカプセルとCan-C点眼薬を併せて使用するといいでしょう。アスタキサンチン、ビタミンA、ビタミンB2, ビタミンB5、ビタミンE、セレン、亜鉛、Lカルノシンが含まれているCan-Cプラスは、酸化防止剤、薬理学的シャペロン、および抗炎症剤として作用することで、互いの作用を相乗的に増強し、内部から損害を攻撃します。そしてCan-Cを併用することで、眼内におけるCan-C点眼薬の作用が増強されると考えられています。

 

関連製品