リチャード・リップマン博士著
“医師は、危険因子を5つのみに限定することによって心臓疾患の理解に歯止めをかけています。”マークC.ヒューストン医学博士、修士
私の妹は62歳です。最近、その妹から、地元の病院の心臓病棟にいると電話があり、びっくりしました。その2日前に自宅のキッチンで倒れ、それを夫が発見し、病院に急送されたことを、か弱い声で手短に説明しました。
倒れた原因は未だに不明です。しかし、心臓専門医は、右冠動脈が80%閉塞しているという問題を見つけ、薬剤を含んだステントを設置し、狭窄した動脈を押し広げる処置を行いました。
妹は、どうして自分が死にかけるような目に遭ったのかと訴えかけるような口調で問いかけました。健全な生活習慣を保つように、毎日運動し、健康に良い食事を摂り、喫煙をしないと留意していたのに、と訴えてきました。実際、彼女はアメリカの田舎の小さい農場に住んでおり、定期的に運動し、新鮮な魚と野菜を食べています。
“どうしてこういうことが私に起こったの?”
ビル・クリントンとディック・チェイニーの経験
医学雑誌に発表された最近の研究結果によれば、循環器病は早期に発見しそれを逆行させることができるということです。
私は、彼女が遭遇した問題は、ビル•クリントンとディック•チェイニーが経験したものと似ていると説明しました。クリントン大統領は、私の妹と同様の健康的な食生活に厳格に従っていたにもかかわらず2004年にバイパス手術を受けました。主要動脈は2010年に再び閉塞し、心臓への血流を促すために薬剤を含んだステントを2カ所に設置する必要がありました。ところが残念ながら、2007年にニューイングランド•ジャーナル•オブ•メディスンは、この高価なステント処置は心臓発作と冠動脈に由来する死を最小限に抑えることができないと報告しました。
確かに、主流の心臓専門医は、通常、循環器病の患者の主要動脈を4、5年ごとに拡張する必要があると述べていると報道されています。ビル•クリントンの心臓専門医は、この病気には治癒はなく、優れた処置法があるだけだと述べ、安堵の余地はありません。ディック•チェイニーとその心臓専門医にも同様の逸話があります。チェイニーは、スタチン系薬剤(例えば、クレストール®、リピトール®)を20年以上飲んでいたにもかかわらず心臓発作を5回も起こし、最近になって心臓移植を受けなければなりませんでした。さらに、クリントンとチェイニーの心臓専門医の誰もが循環器病は防ぐことができずそれを逆行させることもできないと言い切っています。
この心臓専門医らには知られていないのですが、1999年に、メルックの社内研究室メモで、スタチン製剤はCoQ10生産を遮断し減少させると報告しており、このCoQ10は、通常の心臓と血管の健康に極めて重要なのです。最近の研究で、CoQ10とセレンの補充が高齢者の心臓機能と長寿に必要不可欠であるということがわかりました。また、NEMJなどの一流の医学雑誌に発表された最近の研究によれば、先進の技術と治療法を使えば循環器病は早期に発見でき逆行させる事が可能なのです。
循環器病の早期発見
C反応性蛋白は、よく知られている高コレステロール値よりはるかに重要な循環器病の危険因子です。
ランセットやJAMAといった有数の医学雑誌に投稿された最近の知識をもとに、私は妹にいくつかの基本的な質問をしました。例えば、過去10年の定期検診で、C反応性蛋白、ホモシステイン、フィブリノーゲン及び重金属の測定を血液検査で行ったかとか、定期の負荷心電図検査のために心臓専門医を紹介されたかなどです。
残念ながら、これらの質問に対する答えは全て“ノー”でした。私は妹に、もし医者がこれら6つの危険因子を定期的に検査していたら、詰まりかけていた動脈は何年も前に見つかって、プラークによる損傷を防ぐ手立てをし、動脈の閉塞を逆行する事ができたはずだと辛抱強く説明しました。実際に、出版されている研究では、医者は血中のホモシステインの濃度に特に注意をすべきであると示唆しています。というのは、ホモシステインのレベルが15nmol/Lを超える患者では心臓発作の割合が500%も増加していたためです。他の重要な研究では、C反応性蛋白が、よく知られている高コレステロールよりもより重要な循環器病の危険因子であることを示唆しています。
C反応性蛋白の測定は、体内の慢性的な炎症を示すため、コレステロール検査よりはるかに好ましいものです。慢性的な炎症は、有名な俳優のシルベスター•スタローン、アーノルド•シュワルツネガー、ミッキー•ロークらでよく知られています。壮健で筋肉質の体格にもかかわらず浮腫(むくみ)が見られます。もし、この俳優たちがC反応性蛋白を測定していたら、肝臓で生産されるか赤身肉を食することで生ずるインターロイキン6またはIL6と呼ばれる炎症性因子の過剰が見られたはずです。言い換えれば、彼らのように筋肉質で健康そうに見える人たちでも、その外観に騙されていることもあります。健康に見える体でも、閉塞した動脈が潜んでいるかもしれないのです。
最後に、後になって気づいたのですが、妹は頸動脈や大腿動脈の超音波検査もなされていませんでした。こうした基本的な検査をしていれば、首や脚の動脈に蓄積するプラークを含めた心臓や動脈の機能不全を示せたはずです。同様に、動脈の弾性を測る安価な試験装置も購入し利用できるので、そういった検査がされていないのは残念です。これらの装置には家庭用モデルもあるので、それを使って動脈の弾性と動脈の健康を定期的に測定することを推奨します。
一般医の多くが、数々の文献および私の著書、”Stay 40”に記載されている老化防止医学の発展に追いついていないことに思い耽ってしまいます。それどころか、数十年前に得た時代遅れの医学教育に頼り、脂質プロファイル(コレステロール)のみの測定とスタチン剤を処方しその報酬を得ています。これが、老化による最も一般的な病気を防ぎたいと思っているアメリカ人に悲劇をもたらしているのです。ビル•クリントンとディック•チェイニーは何年もスタチン剤を飲んでいたのに心臓発作を起こしたことは記憶に新しいところです。
漢方医療では西暦1025年から予防的療法を行なっています
明らかに、ここまでの段落では、予防的医療処置はまばらにしか存在しないという今日のアメリカの一般的な現状を説明しています。しかし、私は将来の医療は変わっていくと信じています。その一つには、メディケア(医療保険)のある人は、先に言及した8つの循環器病に関する検査をするように担当医に予約をとってみてください。すると、ほとんどの検査費用は、保険対象になっていない事がわかります。口先だけの予防的医療はアメリカの重大なる悲劇であり、これがこの先変わっていくことを切望しています。
ところが、漢方医療では、西暦1025年から予防的療法を行なっています。中国の皇帝は、老化による病気に対する防衛手段として完全に天然の生物学的に同等のホルモン(バイオアイデンティカルホルモン)を1025年から使い始めました。特に重要なものは、天然であり生物学的に同等であるホルモン、ナチュラルサイロイド剤(Erfa Thyroid, Nature Thyroid)と血圧を制御するオキシトシン (Oxy-ProTM)です。
ハーバード大学医学大学院は生物学的に同等のホルモン補充療法を推奨しています
また、テストステロン(T1ジェル)も心血管の健康に欠かせない重要なホルモンです。2010年にハーバード大学医学大学院は、‘Testosterone for Life’(12)という本を出版し、天然のテストステロンが男性にも女性にも、ましてはがん患者においても必要不可欠であると推奨しています。この優れた本は、1000年もの前に中国の皇室が実践していたテストステロンの利益を裏付けるものです。第二に、古代中国と現在の予防的医療の詳細について読むことをお勧めします(10)。
現在のアメリカの医療においては、予防的な医療処置は個人の責任ということになります。要するに、予防の為の循環器系検査と予防の為の治療は自費で行わなければならないということです。
循環器病の予防
救う命は、あなたの命かもしれないし、あなたの愛する人の命かもしれません。
循環器病の臨床マーカーを正常化させる天然の療法を私は強く推奨します。老化防止に特化した専門医師が行う典型的な処置法は、重金属の分析と、それに続く鉛や水銀といった好ましくない金属のキレート化/除去(EDTA, DMSA)から始まります。例えば、私の妹は、最近の検査で、水銀が通常の3倍検出されました。(進行した心臓病患者の解剖結果では、健康な若年者に比べて、しばしば何千倍もの水銀が心臓組織で検出されます。)
炎症の減少化
第二に、科学者は炎症と循環器病は有酸素運動によって明らかに減少できることを発見しました。その鍵は、少なくとも1週間に四回、1日1時間運動することです。その1時間には、40分の高強度または筋トレなどの負荷運動とそれに続く20分の穏やかな有酸素運動を組み込んでください。
加えて、Nitric ProTM、クルクミン、ユビキノール(CoQ10)、ビタミンCおよびK、魚油またはルリジサ種子油、 N-アセチル-L-カルニチン、イソフラボン、テアフラボンを毎日摂取することで、炎症を大幅に減少させる事ができます。私は、毎日このリストの半分をサプリとして摂取し、残り半分を食事の一部として摂取しています。新鮮なクルクミン2−3グラムの毎日の摂取がコレステロールを大幅に正常化することにも注目してください。
酸化ストレス
心臓と循環器の機能を向上させるためには、毎日5000単位のビタミンD3と100mgのユビキノール(CoQ10)の摂取が絶対に重要です。
第三に、平穏でより瞑想的な生活を送ることでストレス全般を減らすべきです。もし、それが不可能であるなら、私が特許を取得したACF228TMといった広範囲の抗酸化剤とCardio-ProTMといった心臓栄養サプリを摂取する必要があります。一般に心臓および循環器の機能を向上させるためには、毎日5000単位のビタミンD3(D3-ProTM)と100mgのユビキノール(CoQ10)の摂取が必要不可欠です。(毎日100mgの摂取でCoQ10の血中レベルを約2mg/dL上げる事ができ、これは重要なミトコンドリア増強剤の最適レベルです。)
また、ストレス由来の狭心症を持つ方には毎日ザクロ果汁の摂取を勧めます。臨床研究において、ザクロ果汁を毎日飲んだ群は、対照群に比べて狭心症が50%減少した事が知られています。ザクロは、頸動脈の内膜中膜複合体厚を約35%逆行させます。ザクロは、一酸化窒素を増加させることで動脈壁(内皮細胞)の保護を変化させます。一酸化窒素は、またNitric-ProTMの摂取によっても増加する事ができます。血管の平滑筋を弛緩させ、緊張を解くことにより、静脈や動脈での血流の増加を促します。
ホルモンも循環器の健康に重要です
ホルモンのバランスも循環器の健康に欠かせません。50歳以上の人のほとんどに多数のホルモン欠乏が見られるのです。こうした欠乏は、あなたの体、特に循環器系にかなりの負担をもたらします。例えば、ストレスホルモンのコルチゾールが通常の標準範囲である30-170(マイクログラム/24時間尿検査)を上回っている場合、体に負担がかかり、免疫系が弱まり、その結果不眠症に陥り、睡眠時に行われる体の修復を妨げます。
私は、DHEA、テストステロン、エストラジオール、IGF-1といった同化ホルモンと成長ホルモンのバランスをとることによって過剰なコルチゾールを慎重に抑制することを好みます。これらの5つの重要な同化ホルモンのバランスをとり、若者のレベルまで調節することによって、特にストレスホルモンのコルチゾールとその4つの代謝物に関してより良く調節された副腎からの分泌を確保することになります。
循環器の健康を向上するためにホルモンの生理的血中レベルを達成しよう
老化中においても最適の健康を得るために、私は前述のホルモン、特に先に挙げた同化ホルモンの血中レベルの最適化に努めています。最適化とは、20代、30代の典型的な血中レベルまで補正することを意味します。あなたが20代や30代と感じたいと思うなら、ホルモンをそのレベルまで戻せばいいのです。そうすれば同時に、体内の炎症と、それに後続する循環器病をなくすことができます。
医学研究者は、現在、心臓機能の向上と心臓再生を目指して幹細胞と7つの成長因子(HGH、IGF-1等)について実験しています。幹細胞とそれに対する成長因子の組み合わせが、損傷した心臓や循環器系の再生の助けになるという将来の見通しは明るいと思っています。
結論
主流の心臓医学には強い経済的な動機があり、ステントやバイパス手術および合成薬剤といった高価な製品や処置法のみが循環器病の治療法であるかのようにアメリカ人を騙しています。知識のある医者や患者は慣習的な医療組織によるテレビコマーシャルの渦を越えて循環器病を本当に逆行させる治療法を選ぶべきです。
その昔、オスカー•ワイルドはこう言いました。“我々は皆、ドブに横たわっている。でも、そこから星を見上げている奴もいるのだ。”
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