リチャード・ステッド著
背景
ファーストラインは、グラスに入れた水の中でOSCN(もしくはオキシチオシアン酸イオンと呼ばれる)分子を作るサプリです。通常、この分子は、涙液、唾液および母乳中に含まれます。これらは、まさに“免疫防御の第一線(ファーストライン)”であり、様々なウィルスや病原体に対する効果が証明されています。
ポール•クレイトン教授は、これらについて“エイジング•マターズ(老化の問題)”という雑誌で参照を付けて記述しています(2013年、第1号)。
OSCNの問題は、その半減期が1時間未満と非常に短いため、必要に応じて生成されなければなりません。健常人は毎日約25mgのOSCNを生成できると言われています。しかしこのOSCNを含有するサプリを製造するとなると、ことに市場および使用者に届けるとなると非常に難しいということが想定できると思います。
リチャード・ステッド(この記事の著者)は賢い化学者であり、(ファーストラインTMとして知られる)キットという形でグラスに入った水の中でOSCNを生成し、それをすぐさま服用/飲用できる方法を考案したのです。方法は、(1、2、3、4と明記されている)4つの薬剤を順序通りに混合するだけの極めて簡便なもので、そうして25mgのOSCNをサプリとして服用/飲用することができます。このサプリには、特に味や匂いはありません。
抗生剤が効かなくなっているのは承知の通りで、抗ウィルス剤としての効果もないため、OSCNへの多くの関心が集まっていると思うかもしれません。この記事では、2009年にIASがOSCNの概念を紹介して以来、リチャード・ステッドが辿った厳しい選択と道のりを語ります。
時が経つのは早いもので、IASのインタビューから10年になります(そのビデオはYouTubeで見られます)。それ以来、色々なことが起こった反面、色々な起こるべきとこが起こっていないのです。
ファーストラインTMの販売量は順調ですが、期待していた爆発的な売れ行きには至っていません。ファーストラインTMを紹介し、この技術を早期に受け入れてくれたIASとエイジング•マターズTMに感謝します。
最初の年に出されたOSCNの研究所の結果は医療関係者を沸き立て、幸福感に満たされました。それなのに残念ながら、ファーストラインTMを患者に投与するために必要な、より多くの理由を提供できる結果を発表できていないのです。この支援不足にお詫びすると共に、これまでの経緯と現況について説明させてください。
落胆と成功
OSCNは、病原体(細菌、ウィルスおよび真菌)に対して効果が示されています。自然は、イオンがこのような幅広い抗微生物活性を持つように設計されているのです。この分野を検証した数多くの学術記事に基づいて、私は英国政府および欧州に臨床試験を実施する資金を要請しましたが、いずれの要請も却下されました。
却下の主な理由は、OSCNは学術書に約40年年前から記述されており、“新規性がない”と評価されたためです。しかし、それまでの間、それを人間または動物に使用するという提案はなされていません。ですから、私は新規性はあると思っており、キットのデザインも有効物質を使用時点で生成するので斬新性もあると思います。
抗菌剤抵抗性
最も驚いたのは、(病原体が抗菌剤抵抗性(ABR)を持つことが懸念されていた当時)いくつかの抗菌剤の代替として実行可能な私の提案した出願に対して全く評価がなされなかったことです。
私の出願は不十分だったのでしょうか。でもなぜ、これが、急増するABRに対する対策の一つになると誰も思わなかったのでしょうか。より毒性の強い病原体は、この先10年に50万人の死者を出すと予想されています。これによって、現在、欧州で年間2万人を超える死者が出ており、米国の死者数も同じ程度です。ですから、私の技術に関して問い合わせが来るかもしれないと思いました。
ところが、待っていたのは沈黙でした。
投資の必要性
こうした落胆を押しのけ、企業や個人投資の仲介を頼みました。要請額は、研究室費用とインフルエンザ患者60人程度の臨床試験費を合わせた700万ドルという控えめなものでした。しかし残念ながら誰も投資に合意しませんでした。
その理由は単純です。慢性疾患に比べて投資収益が低すぎるためです。投資家は心臓病、癌および糖尿病等に対する製品を望みます。つまり、患者が生涯にわたって取り続けるようなプロトコルを望むのです。要するに、病状を治癒するものではなく、病気を管理する、言うなれば、病状を容認できるくらいの健康状態で維持するということです。
したがって、投資家を獲得できなかった背景にある財務論理に反論できませんでした。
ですから、私の資金でできる限りの範囲で研究することにしたのです。その戦略を立て、行動を計画しました。次の4項目が必要とされました。
- 数百万の単位数の販売を想定できる疾患の治験/研究。
- 治験/研究を行う場所。
- 食品グレードの材料を使用してOSCNを作成することによって、薬品としてではなく食品サプリとしての市場開発を可能にすること。全ての構成成分が食品として認可されているかGRASステータスを取得しているため、この基準を満たすことができました。
- 使用者が納得できる商品価格の設定。
こうした基準から、上気道疾患(URI)に焦点を当てることにしました。どのようにこの決断に至ったかを以下に説明します。
ヒトでの研究
ハンガリーの病院でこの研究が実施され、その結果(補足1を参照)は、素晴らしいもので、補足2に参照されるように、予想以上のボーナスまでついてきました。
この戦略に対する最大の障害は、病院の倫理委員会を満足させることでした。病院長のトマス博士ならびにポール•クレイトン博士とサボルチ•ラディ博士のOSCNへの信頼と、委員会へのその詳細の提示の支援、そしてABRに対する解決策を共に模索し、URIが標的疾患であると同定したことに感謝します。私たちの提案では、患者が利益を感じない場合には、抗生剤を投与するようにし、生命に危険が及ばない患者を治療することで、倫理委員会の承認を受けることができました。
なぜURIなのか?
先進国のヘルスケアに関する統計の中には驚くものがあります。
- 他の疾患に比べてURIに対してより多くの抗生剤が処方されています(80%のURIがウィルス由来であるため、これは馬鹿げたことであり恥ずべきものです)。
- 毎年、人々は平均2回さまざまな重症度のURIに罹患します。
- 典型的に、URIは2−5日続きます。
- URIは、欠勤の最大の理由です。
- 一回あたりの欠勤の日数は平均2日以上です。これは、米国では1年あたり1億日に相当します。
- 米国経済が被るコストは数十億ドルに及びます。
- 従業員は収入を失うことがあります。
- 会社の生産性の低下も考えられます。
- 保険や保険会社のコストも示唆されます。
- 政府の税金や所得の損失もあります。
- 入院費、薬剤費等、これに対する医療費は莫大なものです。
ですから、欠勤日数を減らすことができれば、関係者全員のコスト削減を提供できます。それがたとえ1日であっても、効果的な抗ウィルス作用は特異の効果です。
まとめ
添付された研究の結果のまとめを見ても分かるように24-48時間以内の症状の軽減が80%に見られ、通常より早期の回復が達成されるという素晴らしいものです。これは、ファーストラインTMの1回投与で達成されており、翌日に2度目の投与を行うこともできます。
ここで達成されたのは体の免疫防御を自然に増強したものだと確信しています。そうすることで、より早く病原体を克服する代替手段を提供します。
医療従事者への支援とともに教育も重要な仕事のうちだと思っています。この研究に携わった3人の医師との話し合いで明らかになったのは、OSCNがどの時点で供給されても、症状に対して好意的で持続した向上が見られたということです。
こうして得られた明らかなメッセージは、症状が現れたらすぐにファーストラインTMを服用するということです。
OSCNのその他の用途
OSCNの効果はその他の用途/疾患、特に腸内で証明されています。
腸内共生菌バランス失調状態は、多様な免疫障害を起こし、特に脳と関連し知覚および精神問題をも起こします。精神障害を持つ人のほとんどに腸内問題が見られます。脳が腸に影響しているのでしょうか、それとも腸が脳に影響しているのでしょうか。OSCNは、腸内共生菌バランス失調状態に効果があります。現在、私は、OSCNのこの用途での使用の研究に専念しています。ファーストラインTMは、検証された感受性の高いプロバイオティクスおよびプレバイオティクスの様式に関与した健康状態に患者を促す第一歩でありますが、腸内で病原体を破壊することが重要だとみています。
敗血症への思いがけない贈り物
研究の成功に引き続く興味深い話題がありました。ハンガリーの病院全体で私たちの研究の成果がよく知られるようになりました。研究が終了した数週間後、集中治療室長がラディ博士にOSCNキットを要請したのです。
敗血症の女性患者が、数週間の間にどの抗生剤も効かずに意識不明の状態で、臓器不全に陥っていました。X線撮影において、肺は空洞で感染症に覆われており、血液に酸素を供給する装置に頼った状態でした。この患者の予後は悪いものでした。しかし私たちは、この患者に3日以内に投与することができました。これまでの研究の成功と“最終手段”という状況から倫理委員会がOSCNの投与をすぐに認めたのです。
その結果、効果的な反応が得られました。(栄養チューブによる)投与の翌日のX線撮影に、明瞭な部分が現れ、数日で感染が無くなり、自力で呼吸ができるようになりました。残念ながら、この患者の意識は回復しませんでした。最終段階からの回復には至らず、しかし感染は無くなった常態で、患者は亡くなりました。
この効果によって、同じ病院で敗血症に対してOSCNが二回使用されました。赤ちゃんと30代の男性に対してです。どちらも、OSCNは経口投与され、数日で感染を取り除くことができ、幸い、“最終手段”に至る前にOSCNが投与できたため、どちらも完全に回復しました。
注:これらの臨床の詳細と結果を含めた論文が掲載される予定です(詳細については、巻末の補足2を参照)。
お願い
OSCNが最初に記事になって以来、いくつかの疾患に対して有効に使用されています。私に届く全ての成功例は、又聞きの逸話です。成功例を聞くのは嬉しいことですし、逸話も無いよりはましです。OSCNが不成功であった疾患については聞いていませんが、そういう疾患もあるはずです。私からのお願いは、医療従事者がファーストラインTMを使用または処方する際に、その全てまたはいずれか転帰を連絡してほしいということです。私は、効果的な結果および否定的な結果をまとめ、関係者全員に提供します。もちろん、そうした報告は匿名化され、年齢、性別、体重、疾患、用法(他に使用した薬品を含む)および転帰のみを必要とします。これに対するみなさんの考慮と支援に、前もって感謝します。
医療従事者が一疾患に対して小規模な研究の実施を望む際には、私は何らかの支援を考慮します。そのような研究の結果は公表され、他の関係者にも提供されます。
結論
定説や既得権益の置かれる今日では、OSCNのような天然物質を一般市場にもたらすことは非常に難しいものです。これは、期待される治療法、副作用および使用禁忌の少なさといった素晴らしい特性にもかかわらずです。
私の発明者としての望みは、OSCN(ファーストラインTM)が“たまたま知っている”専門家の間だけではなく、いつの日か主流となることです。しかし、人生でよくあるように、私たちはできる限りのことをやり、その後はなるようになる、ですね。
この記事が、あなたの次のインフルエンザやURIの季節に間に合うように出版されることを願っています。
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